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2009.07.08(Wed)

もとねた 

某所で某氏が私が書いた話の設定を基にした文の一部を出してたので、便乗してその元ネタ出します(ぇ
過去に某サイトで掲載した物なんだけど、現在は縮小化に伴って掲示板自体が無いから。
最初に掲載した時は5つに分けて掲載。今回は一括掲載にしておきます。




              恐怖洋館探索作戦 


『はーい…』
呼び鈴が鳴った為、自分からは出たがらない(と言うより、寝てて出ない)リクに代わり、キュウコンがドアへ向かう。
「その声はキュウコンね。私」
『あ、フィアさんでしたか。今開けますね…』
キュウコンは器用に鍵を開ける。
「聞くまでもないと思うけど…リクは?」
『寝てます』
フィアは「はぁ」と溜息をつき、
「それなら、叩き起こしてきて」
『寝かせておくという考えは無いんですね、相変わらず』
「寝過ぎじゃない。叩き起こしでもしなければ、起きてくれないもの」
『…でも、最近は私がやってもなかなか起きないんですが;;』
「仕方の無い人…」
フィアは家に入り、
「…それじゃ、今回は私の手腕を発揮させてもらおうかしらね」


「ほら、リク。起きなさい」
「うー…バルバトス強すぎだ…」
『…夢の中でゲームやってるみたいですよ』
キュウコンが呆れて言った。
「……」
『これは…ちょっとやそっとでは起きませんね…』
「…キュウコン。カセットデッキある?」
『あ、はい、そこに…』
「…ちょっと借りるわよ」
フィアはカセットテープを取り出し、
「コレは出来るなら使いたくはなかったけれど…仕方無いわね」
カセットテープをセットし、デッキをリクの枕元に設置。
再生ボタン、ポチっとな。
『ぶるぁ。ぶるぁ。ぶるぁ。ぶるぁ。ぶるぁ。ぶるぁ。ぶるぁ。ぶるぁ。(エンドレス)』
「う、うう…」
『あ、効いてるみたいですよ』
「流石はバルバトス。効果は絶大ね」
「……ッ!!」
耐え切れず、リク君起床。
そりゃ、枕元でこんな事されてはたまらない。
「あら。おはよう、リク。どうしたの? うなされてるみたいだったけど?」
何を白々しい。
「…物凄く斬り捨てたくなった;;」
ちなみにリク君が起床したのは12時。おはようの時間ではないし、寝起きも最悪である。

「…で? こんな起こし方をするからには、何か?」
「これよ」
フィアは一冊の雑誌を見せる。
「あー? 『怪奇スポット大特集』?」
「そういう事。調査に行くわよ」
「パス。せっかくの休みなんだから寝かせろ」
「何時も休みみたいなものじゃない。行ったら行ったで何か発見が…」
やっぱり食い下がってくる。
「…まさかアンタ、1人で行くのが怖いとか?」
「そ、そんな事…あ、あるワケ…」
あからさまである。
「で、暇そうなオレを引っ張り込んでいこうと」
「ノーコメント」
「…で、そのスポットの位置は」
「あ…ええ、そんなに離れてはいないけど…」
「…よし。出撃」
「やけに素直ね。珍しい」
『当然の選択ですよね。男の人は女の人を守るもので…』
「弱点に付け込んでさっきの仕返しだ…!(小声)」
『…ちょっとでも感心した私が間違いでしたね。…ご主人様って、案外サドの気があるんでしょうか;;』


その日の夜。
「で、来たワケだけど」
「大丈夫怖くない大丈夫怖くない…」
「…暗示掛けるくらいだったら、戻った方が」
リクが言うと、フィアはキッとリクを見据え、
「冗談じゃないわ。ここで引き下がったら、コレが台無しよ!」
フィアはまたも先程の雑誌を見せた。
「…何が台無しだってんだよ」
「ほら、ここの部分をよく見て」
「ん、なになに…『証拠写真撮影に成功した場合には、賞金進呈』って…アンタの目的はそれかー!」
「当たり前じゃない。じゃなきゃ、何でこんな所に居るの?」
「…今猛烈に帰りたくなったぞ」
「半分」
リクはすぐさま反応する。
「よっしゃー、やったらー!」
ふふ、ちょろいものね。
そんな事を考えているフィアにまんまと乗せられたのであった。

「……」
洋館敷地内に入ったリクは、思わず足を止める。
「…オイ。随分と大勢連れてきたな」
「あ、私は別に依頼されたワケではありませんけれど」
「しかも何かジャーナリスト居るし。隣は何か知らない人居るし」
「あら、この人と知り合いなの?」
フィアが聞く。
「あー、まぁ。何かと組む事が多い」
「リコも、この洋館を調べてるらしいの。私達よりはるかに多い情報を持っているハズだから、同行を頼んだの」
「どう考えても立派な依頼じゃん。で、そっちのヤツは?」
「何だか、依頼を受け持って、その依頼をこなす事で報酬をもらって生計を立てているとか、何とか…」
「俺はコウヤ。ホントなら今日は、俺と、あともう1人…一緒にやってるユキと来るハズだったんだが…急ぎの依頼が入ったみたいで、今回はこっちは俺1人って事に」
リクは何か考えていたが、
「さぁて、さっさと行くとしようぜ」
コウヤに急かされ、思考を止めて洋館の中へ入っていく。


「…で、何でオレが先頭を歩くワケ?」
「この中で一番接近戦やりやすそうなのがリクだからに決まってるじゃない」
フィアは事も無げに言った。
「まさかとは思うが、いざという時にコイツを盾にして逃げるつもりじゃねぇだろうな?」
コウヤが聞くと、
「あら、察しがいいじゃない。正解」
またもフィアは事も無げに言った。
「リクも苦労しますねー…」
「それは言うんじゃねー、リコ;;」
「でも、妥当な隊列だと思うけれどね。私はどちらかと言えば中衛専門だし。リコは生粋の後方支援専門みたいだし」
「あのー、オレも一応術使えるし中衛出来るんだけ…」
「前衛が居ないと中衛後衛の壁役が居ないじゃない。しかもあなた、攻撃術は使えても回復術使えないじゃない」
「やっぱりアンタはオレを壁役に使う気かー!!」
「当たり前じゃない。コウヤは武器持ってないんだし」
リクはコウヤに向き直り、
「オイ、コウヤてめっ、何で武器持ってこなかった!? えー!?」
「いや、俺はまぁ、ポケモンで事足りるもんだから…第一、武器なんて要らないんじゃねぇのか?」
「あま―――い!!」
誰だ。
「今回は一応テイルズ風味で行くって決めてんだよ!」
「誰が決めた!?」
「作者の意向に決まってんだろーが!」
「にしては最初キュウコン出てたじゃねぇか!」
「筋を通す為だっての!」
何をやってんでしょうこの2人。
「リコ…放っておいて、先に進みましょ」
「そーですね…;;」
まぁそれを聞いた男2人は、歩きながら口論を続けるワケだが。


「それに、コウヤを間に挟まないといけない理由っていうのがあるの」
「は?」
何の事なんだ。
「ユキに聞いた所によると、コウヤは相当の方向音痴らしいのよ。だから、最後列にするとどっか行っちゃいそうだし」
「方向音痴…私の兄さんと同じですね…」
「そういう事だからリク。何かあったら前衛は宜しくっ!」
「爽やかに言うな爽やかに!」
そんなワケで、あれよあれよという間に隊列で前衛にされてしまったリク君。さてさて、前途多難な探索、どうなる事やら…



「何も無いわね…」
大広間の中心で辺りを見回しながらフィアは呟く。
「それにしても…この洋館、結構広いですね…」
「こんなに暗いと、証拠写真だって撮れないんじゃねーの?」
リクの疑問も尤もである。
「それは抜かり無いわ。暗視レンズがあるから」
「…そんなモン、あるのか?」
コウヤが聞く。ちなみに作者はそんな物あるのか無いのかは知らん。
「ところで…だ」
リクがいきなり切り出す。
「怪奇スポットだとか言ってたけど、この洋館って、一体何があんだよ」
確かに、まだ聞かされてはない。フィアは人差し指を立て、
「そう、そこよ。人数を集めたのにも、その内容が関係しているの」
「内容が関係してる、だと?」
不思議そうにコウヤが聞く。
「では、それについては僭越ながら私が」
リコは軽く咳払いをし、バッグからノートを取り出す。
「これは、これまで私が人から聞いたり自分で調べて、分かった事を書き記しているノートです。それで、この洋館についての記述なんですが…」
「うわ…随分使い込んでるノートだな…」
「些細な情報でも見逃さない。それが私の性分ですから」
「素晴らしい心掛けね。リクも見習った方がいいわよ」
「…うるせー;;」
「まず、調べた内容は、必ずしも全て本当だとは限らないという事をおことわりしておきます」
リコの言葉に、3人は揃って頷く。
「では最初に、この洋館についての概略なんですが…」


リコが話し出したのと同じ頃。
「……?」
コウヤは自身から見て右手のドアの先で、何かが光る光景を目にした。
「……」
気付いた時には、その場から音も無く移動を始めていた。
まるで、その光に引き寄せられるかのように。


「…と、私が纏めた事については、以上です」
「よくそこまで調べられたな、アンタ」
「ええ…流石と言うべきね」
「ですが…」
リコは緊張の面持ちで続ける。
「仮に…仮にですよ? 先程話した、この洋館についての現象が本当だとするならば…」
「ええ。単独で行動するのは危険ね」
「オイ、ちょっと待て。…コウヤのヤツがいねーぞ」
「え…?」
リクの言葉に、フィアとリコも当たりも見回す。
「…変ね」
「まさか…コウヤ…」
「……?」
ふと、リクが何かを見つけ、それを拾い上げる。
「コレ…懐中時計か?」
「見た感じそんなに古くはないし、これが、ここみたいにボロボロな所に落ちているとは考えにくいわね」
「という事は、コウヤの物、という事になりますね…」
3人の間に緊張が走る。
「…嫌な予感がするな」
「ええ…ちょっとマズイわね。この辺りを探してみましょう」
「言うのは簡単だが…さて、何処を探せばいいんだか」
「そうですね…前、右、左に部屋が1つずつ。後ろは私達が入ってきた方向…」
「そして左右前方には、上の階へ上る階段…探すのはちょっと骨が折れそうね…」
この洋館は、頭上が吹き抜けになっている。
3人はまず、最初に探す場所を絞り込む事にした。
「まず、ここまで来といて戻る事は無いだろうから、後ろは除外…」
「そして、上に行こうとすると、まずは前方向に行かないといけないし、私達のうち誰かしら気付くから、これも除外…」
「同じ理由で、方向から考えて前も除外…ですね…」
「となると…」
「右か左…という事ね…」
「どうします…? どっちから探してみますか?」
「そうね…恐らく、右も左もどちらも部屋でしょうから…誰かがここに残って、右と左の状況を確認しつつ…」
「それぞれの部屋の様子を確認して、何も無ければすぐに出て来る…という事か。てか、さっき誰かさんは単独で行動するのは危険だとか言ってなかったか?」
尤もな疑問だが、フィアは指摘を華麗にスルー。
「それをするとなると、ここに残るのは…?」
リコの問いに、フィアは当然といった表情で、
「もちろん、リクに決まってるじゃない」
「…オレかよ;;」
「さて、残る人も決まった所で、リコはどっちを探してみる?」
「それじゃあ…右で」
「じゃ、私は左ね」
「…ったく。さっきはオレに前衛やらせるとか言ってたのに、蓋を開けたら後方支援じゃねーか」
当然このぼやきも、フィアは華麗にスルーしたのであった。

左の部屋に入ったフィアは、懐中電灯でゆっくりと部屋全体を照らしていった。
「ここは…どうやらリビングだった場所みたいね…」
テーブルは脚が折れて傾き、ソファは破けている。
「正直…気味悪いわね…この大きいテレビも、もう映らないだろうし…」
一通り探したが、ここにコウヤが居ない事を悟ったフィアは、取りあえず大広間に戻る事にした。
その瞬間、突如テレビが凄まじい音量のノイズを発しだした。
「きゃ!?」
耳を塞いでいないと、立っている事も出来ない程だった。
(何…この音量…有り得ない…何よ…このノイズ…!)
『………ケ』
「…?」
『ココカラ…デテイケ…』
(頭の中に…声が…!?)
フィアは剣に手を伸ばそうとするが、ノイズのせいもあって柄に手がかけられない。
(こんな時にっ…! リクは…何やってるのよ…!)
確かにリクは、大広間に残っているハズ。
(まさか、このノイズと…この声…私にしか聞こえていない…?)
『ムダダ…』
「いい加減に…しなさいっ!!」
フィアはノイズに苦しめられる身体に鞭打ち、渾身の力を込め、剣を抜きざまにテレビを両断した。
同時に、ノイズもピタリと止まる。
「はぁ…はぁ…。う…っ…」
手から剣が滑り落ち、床で乾いた音を立てる。
フィアは膝と手を床につき、荒い呼吸を繰り返した。

「今、何かが落ちる音が聞こえたような…」
「リク!」
音を聞きつけたのか、大広間にリコが戻ってきた。
「アンタか。今の音…」
「ええ…多分、剣の音でしょう」
「で、聞こえてきたのは左の方か…」
「行きましょう。フィアさんに何かあったのかも知れません」

「フィアさん!」
「ああ…2人ともお揃いで…どうかしたの…?」
「それはこっちのセリフです。フィアさんこそ、一体何が…?」
フィアは苦笑し、
「ちょっと…ドジしちゃった。…私もまだまだね」
「…テレビが斬れているな」
「ああ、それ私。今まで、凄まじいノイズに苦しめられてて…何とか斬りおとしたけど…ちょっと…疲れちゃったかな…」
「立てるか」
「平気。…それと、こっちの部屋にはコウヤは居なかったわ。リコの方は?」
「私が探した部屋は、書斎だった場所のようでしたが…一通り見ましたけど、見つかりませんでした」
「となると…」
「前の部屋か、上の階か…」
「コウヤが突然消えた事といい、フィアさんの件といい…私が調べたこの洋館の事象…どうやら本当みたいですね…」
リコはノートを開きながら言った。
「とにかく、それが確実になった以上、長居するのは危険ね。早い所、コウヤを探さないと…まずは正面の部屋を探してみましょう」
「その必要はねー。アンタらが部屋を探索してる間、退屈だったからオレも勝手に正面の部屋を調べさせてもらった」
「何時の間に…で、どうだったの?」
「正面の部屋は食堂だったんだけどさ、コウヤは居なかったぜ。寧ろ、魔物の襲撃を受けた」
「魔物!?」
「そ、それで、何とも無かったんですか?」
「50匹くらい居て何か面倒だったから、ディバインセイバーでまとめて蹴散らした」
「……あなた、ディバインセイバーなんて使えたっけ?」
フィアの疑問を、今度はリクがスルーする番だった。
「正面の部屋、その術使ったもんだから瓦礫とかで凄い状態だけど…見るか?」
「申し訳ないけど、やめとくわ…;;」
「わ、私も遠慮させてもらいたいですね;」
「ま、そういうワケだから、残ってるのは上層部分って事になる」
「と、取りあえず、行動しないとね;;」
何時の間に派手にぶっ壊していたリク君なのであったが、フィアとリコはその件については取りあえず置いておく事にした。


「…何か、眠くなってきた」
「何よ、もうバテたの?」
「仕方ねーだろ。もう夜なんだし」
「そういえばそうですよね……あ、もう11時…」
流石に1日が終わろうとする時間帯の行動はかなり辛い。
ほぼ何時も寝不足のリクにとっては一番辛い時間である。
「それにしても…下の階にはコウヤは居なかった…コレはどういう事なのかしら…」
「隠し通路の存在…というのはどうでしょう?」
「それは否定出来ないけれど…怪しい所は特に無かったし…」
「オレは正面の部屋では床板ごとモンスター蹴散らしたけど、別に何も」
「床板壊してどうするのよ、全く…」


「この階は…」
2階は、かなりの数の部屋で構成されていた。
「恐らく…客室か何かだったのかも知れないわね」
「やっぱり、全部調べる事になりますかね…」
「大変だけど、やるしかないでしょ;;」
この時点で、3人の士気はかなり落ち込んでいた。

「さて、一体何部屋あるんだか」
「1人の行方が分からない以上…3人まとまって行動するべきだけど…」
「流石にそれだと、埒があかないですよね…」
フィアは厳しい表情で、
「仕方無いわ。危険だけど、個々で調べてみましょう。部屋は東西それぞれに8部屋、北に8部屋…」
「合計24部屋か…オレは西の方に行かせてもらうか。今回はオレに優先選択権くれたっていいだろ」
「…仕方無いわね。リコは? 私はどちらでも構わないけれど?」
「じゃあ私は…東の方で」
「で、私は北…と」
「取りあえず、もし危険を感じたらすぐに部屋を出て、他の2人に応援を頼む。それでいいな?」
フィアは反論するかと思ったが、状況が状況である為か、黙って頷いた。

「別段、変わった部分は無いみたいだけれど…」
リコは、一部屋ずつ丁寧に調べていく。
「どう見ても、普通の客室…それにしても、部屋の数多いなぁ…」
恐らくこの建物は、かなりの資産家が所有していた場所だったのだろう。
そんな事を考えながら探索していくと、いつしか割り振られた最後の部屋に到達していた。
「ここまで何も手掛かりは無かったし…多分、この部屋にも…」
手掛かりは、自分の担当する場所には無いだろうという考えの下、リコは最後の部屋に足を踏み入れる。
「……? あれは…新聞?」
リコは、ベッドの上に置いてあった新聞を手に取った。かなり古い物である。
「えーと…日付は…。…えっ!?」
辛うじて読めた日付には、目を疑う記述があった。
「うそ…100年前…?」
その新聞の記事には、この屋敷の所有者一家が、強盗団によって惨殺されたという記事が一面に出ていた。
(おかしいな…どうして、この洋館の関係者が全員居なくなった後に、この新聞が…?)
確かに、この洋館の関係者が居なくなった後に、この新聞があるのは不自然だ。
「考えられる事は…私達以外の誰か…若しくは『何か』が…この洋館に…居る…」
リコは新聞をベッドの上に置いた。
「もしかしたら…コウヤが突然居なくなったのも…」
確かに、不自然な新聞を見つけた以上そう考える事も出来る。
「とにかく、この事は2人に報告しないと…」
リコが部屋を出ようとした時、突然背後に悪寒を感じた。
「……!?」
反射的にリコは振り向く。しかし、誰も居ない。
気のせいかと安心したリコは、再び前を向いた。

「ダメね…」
フィアは手際よく部屋を調べて回ったが、大きな手掛かりは得られず仕舞いだった。
「本当にどうなっているのかしら、この洋館…」
「ホントだな。こっちも何も無かった」
「これじゃ、まるで雲を掴むみたいね…」
「ところで、リコがまだ戻って来てねーみてーだが?」
「そうね…何か見つけたのかしら…」
「どっちにしろ、何かあったとしても何も無かったとしても、そろそろ戻ってくんだろ」
リクが呑気にそう言った直後。
「きゃああ――っ!!」
突如聞こえた悲鳴。
「リコ!?」
フィアが反射的に駆け出す。
「オ、オイ!」
思い切り置いてけぼりを食らったリクも、少し遅れてフィアの後を追った。

「リコ!」
フィアが部屋に飛び込み、辺りを見回す。
しかし、部屋にはフィア以外誰も居なかった。
「……っ! まさか…コウヤに続いてリコまで…」
「ったく…いきなり走り出すなっての…」
フィアの俊敏な反応により遅れをとったリクが部屋に入ってきた。
「来るのが遅い! …今度はリコが消えてしまった…ホントにどうなってるのよ、ここは!」
「そこに、リコのカメラが落ちてた。…この部屋で何かがあった事は確かだな」
「…あら? あれは…新聞…?」
フィアはベッドの上の新聞を手に取った。
「日付が100年前になってるわ…」
「100年前!?」
「しかも、新聞の記事と状況が矛盾してる…」
「どんな風にだよ」
フィアは新聞をリクに見せ、
「まず、この洋館の位置とか外観は、この写真と相違無いわよね?」
「ん…ああ。多少損壊してたりする部分はあるけどな…所在地も、その記事と同じだ」
「いい? この記事に書いてある、洋館所有者一家惨殺事件は、新聞の日付よりも前に起きているハズ。でも…」
「その記事が書いてある新聞が、ここにあるって事は…」
「…ええ。この洋館に誰かが…いいえ。『何か』が居るわ。今まで見てきた中で、開いていたのは正面玄関だけだし…」
「開いてる窓から偶然この新聞が入り込んでくる可能性も低いとなると…」
「…やっぱり、何者かが居るわね。この洋館に。恐らく…コウヤとリコも捕らえられているハズよ」
フィアは新聞をベッドに放り、
「人数がさらに減った以上、今後単独行動は厳禁ね…」
「で、次はどうすんだよ」
「恐らくリコは最後にこの部屋に入って、そして何者かによって連れ去られた…まだ探していない所は無いし…」
「…いや、まだ一箇所だけある」
「え?」
「オレが最初に入った、正面の部屋。あの時オレは、入ってすぐに魔物の襲撃を受けた」
「でも、コウヤは居なかったんでしょう?」
「確かに居なかった。だけど、可能性としちゃ、そこしかねーと思う。…何つーか、地下室、とか?」
フィアは何度か小さく頷いていたが、
「じゃあ、調べてみましょう。…確か、その部屋は食堂って言ってたっけ?」
「ああ。瓦礫が散乱してるけど、どかせばもしかしたら…」
「…それじゃあ、そこに賭けてみましょう。でも、もし見つからなかったら…」
「恐らく、上の階より下の階の方が怪しい所は沢山あるだろうな」
「…分かった。それじゃ、もう一度1階を調べてみましょう」


「食堂…さっきオレがコウヤを探した所だ」
「瓦礫が凄い事になってるって言ったけど…どの程度なの?」
「ま、見れば分かるって」
フィアが先頭になって、2人は部屋の中に入る。
「……」
部屋の中に入るや、フィアは言葉を失った。
「…ず、随分と派手に壊したわね;;」
「正当防衛だ。仕方ねーだろ」
リクは全然悪びれていない。
「ま、とにかく、この瓦礫をどかしてみよーぜ」
「え? ええ…」

「とは、言ったものの…これ…瓦礫の量、多すぎ…」
フィアは額の汗を拭いながら言った。
「帰ったらもうお風呂直行…誰が何と言おうと直行…;;」
辛そうなフィアを余所に、リクは黙々と作業を続ける。
「ちょっと…あなた、大丈夫なの?」
「何が」
リクは全然汗をかいていなかった。
「よく…涼しい顔して作業出来るわね…;;」
「ま、性分ですから…」
「……」


「やっと…全部どかせたわね…しかも、大当たり」
どかした瓦礫の下からは、下へと続く階段が。
「躊躇っている場合じゃないわね。…行くわよ」
「待て」
突然呼び止められ、フィアは怪訝そうな顔をする。
「何? 怖気づいたの?」
「ちげーよ」
「じゃあ、何よ」
「…アンタにはここで、消えてもらおうと思ってな!」
その言葉と共に、突然リクはフィアの首を掴み、床に押し倒した。
「きゃあっ!」
剣を抜こうとするが、逆に相手の左の剣に阻まれる。もう片方の剣は、喉元に突きつけられた。
「…どういうつもり?」
フィアはあくまでも平静を装って聞いた。
「アンタ…この洋館の中の事知りすぎたんだよな」
「くっ…リク…。いえ…あなた、誰!?」
「何言ってんだよ。リクに決まってんだろ。裏切りだよ。うーらーぎーり。気付かないなんて、バッカじゃねーの?」
「そんな…」
「クク…わりーが消えてもらうぜ。アンタの大事なお友達と一緒にな!」
やられる! そう思った時。
「いや…消えるのはテメーだ」
「!?」
フィアにとっては聞き覚えのある声。
「な…お前は!」
その言葉が、相手の最後の言葉だった。
「じゃーな。ニセモノ」
剣を収めながら『本物の』リクが言った。

「いやー、危機一髪だったな、アンタ」
「リク…どうして?」
「まんまとやられたよ、ったく。最初、オレがここに来た時…モンスター片付けた後に不意を突かれちまって…今までここでずっと気ィ失ってた」
「そ、それじゃ、今まで私達と行動してたリクは…」
「ニセモノだな」
「…ところで、気を失ってたって…何時目を覚ましたの?」
「今さっき。目を覚ましたらアンタがオレのニセモノに襲われてて殺されかけてたから驚いた」
「あのタイミングで目が覚めたのは、不幸中の幸いだったって事ね…もし目が覚めてなかったら、私は今頃…」
「多分…な」
フィアは「はぁ」と溜息をつき、
「見破れなかったなんて…迂闊…」
「あ? そんなにソックリだったってのか?」
「もう元のあなたそのままね。性格から何もかも」
「相当だな。おかしいと感じたのは?」
「さっき。瓦礫をどかしている時に、汗を全然かいてなかったから、何だか変だと思ったんだけど…」
「ところで、リコが居ないようだが?」
「リコは…」
フィアは、これまでの経緯をリクに話した。
「リコまで消えちまったってか…大事になってきたな」
「とにかく、下への道が開けてる。行きましょう」
(…そういや、助けてもらって感謝の言葉も無しかよ…ま、いいけど;;)


「どこまで続くんだ、この階段…」
「もう随分降りたハズだけど…」
リクは懐中電灯を下に向けて照らしているが、まだ終わりは見えてこない。
「…なぁ」
「なに?」
「こういう所ってさ、後ろから岩が転がってくるってのが、王道なギャグパターンだよな」
「ちょっと…! 不吉な事言わないでよ」
「いや、だけどもしもって事も…」
「…ちょっと静かにして。…何か聞こえてこない?」
フィアに言われ、リクも耳を澄ましてみる。
「…何かが転がってきてるような音だよな」
「ええ」
「もしかしなくても、か」
「そうみたいね…」
「「せーの…」」
「わあああ――っ!!」「きゃああ――っ!!」
やっぱり岩が転がってきた。走らないと潰される。
「ちょっと! リクが変な事言うからよ!?」
「オレのせいかよ!?」
「当たり前でしょ!?」
そう言っても、容赦なく岩は追いかけてきますよ。
「そんな事より走る事に集中した方がいいと思うぜオレは!!」
「同感!!」
でも下り階段で走るのは危ないので、こんな風に余程の事が無い限りは絶対に止めましょう。


「はぁ…はぁ…何とか振り切ったな…;;」
「ちょうど窪みがあって助かったわね…;;」
「窪みどころか、通路みたいだけどな」
「…みたいね」
すると、2人の後ろで何かがぶつかったような音がした。
「あの岩、何処かで止まったみてーだな」
「そうね。とにかく、向こうの通路に行くのは危険だと思う。下手したらまた岩が転がってきて、もし窪みとか無かったら、2人とも岩に潰されてしまう」
「ま、とにかくこっちに行ってみて、何も無かったら引き返すって事で」
「了解。はぁ…ノイズに苦しめられるわ、リクのニセモノに襲われるわ、岩に追いかけられるわで…何だか疲れたわ;;」

「…分かれ道とかはねーな…純粋な一本道だ」
「でも、この洋館って不思議ね…」
「何がだよ」
「だって、普通はこんなに地下深くまで作らないでしょう?」
「それはそうだけど…」
しばらくの間、沈黙が辺りを覆う。
「ねぇ、リク…」
「あ?」
「この洋館の持ち主…本当に資産家だったのかな…?」
リクは少し考え、
「…どうしてそう思う?」
「さっきも言ったけど、普通ならこんなに地下深くまで作らない。この地下、倉庫なんてものじゃない。まるで…」
「牢獄…とか?」
「ええ…その可能性が高いと思う。でも、大人数を収容するようなものじゃなくて、あくまでも個人を幽閉する為の」
「……フィア」
「なに?」
「アンタのその考え、当たってるみたいだな」
「どうして?」
「目の前に、いかにもそれらしいぶ厚い鉄の扉があるじゃん」
正面を指差して、リクが言った。

鉄の扉を2人掛かりで開き中に入ると、中は狭い部屋だった。
「どうやら、アンタの予想が当たったみたいだな…ホントに牢獄みたいな感じだ」
辺りを見回しながらリクが言った。
「きゃ…!」
突然フィアが短い悲鳴を発す。
「どうした?」
「あ…あれ…!」
「あれ?」
リクは、フィアの指差す方向にゆっくりと懐中電灯を向ける。
「……っ!」
リクも言葉を失った。
「あれは…まさか、人骨か…?」
「た、多分…ここに幽閉されていた人の…」
「一体何だったんだ…この洋館は…」
「…もう出ましょう。何だか気味が悪くなってきたわ…」
「…だな。オレもこの場所に長くは居たくねぇ」
2人は足早に牢獄を出ると、入ってきた時と同じように2人掛かりで重い扉を閉じた。



「…あまり、見たくない光景だったわね」
「同感。…けど、あそこに閉じ込められてた人は、ずっと孤独だったんだろうな」
「そうね…とにかく、早い所コウヤとリコを探さないと。ここは危険だわ」

「…で、結局さっきの場所に戻ってきたワケか」
「まさか、また岩が転がってくるんじゃないでしょうね…」
先程岩に追いかけられたのだから、2人の心配ももっともである。
「…転がってこない事を祈るしかねーな」
「やっぱりそうなるのね;;」
これまで以上に注意深く、岩が転がっていった方向へと向かう。
しばらく歩くと、岩が壁に直撃した後があった。
「…すご」
「あれに潰されたと思うと…ダメ。想像したくない;;」
ごもっともである。
「…あれ、階段じゃねぇ?」
「また下り?」
「いや、今度は上り。螺旋階段みてーだ」
「螺旋階段…まさか今度は、上から岩が転がってくるなんて事はないでしょうね;;」
「そう言うと転がってきそうだから言うのは止めておいた方が;;」

「いい加減にして欲しいものね…下りで散々下りた後は上りだなんて」
「オレ達が下りてきた苦労は一体;;」
ごもっともである。もう結構上ったハズだ。
「……! 見て」
「あー?」
「扉があるわ…ここにもし居なかったら…」
「…開けるぞ」
フィアが頷くと、リクは一気に扉を開けた。さっきよりは軽い。普通のドアの感覚だった。
「……」
「……」
開けるや否や、リクとフィアは拍子抜け。
「…アンタら、何やってんだ」
その部屋に居たのは、居なくなっていたコウヤとリコだった。
「…お、やっと上ってきたか」
「待ちくたびれましたよ…」
「疲れたのはこっちだ!」「疲れたのはこっちよ!」
リクとフィアは同時に叫んだ。
「とにかく、説明してもらうぞ」

「…なるほどね」
「アンタらが消えたのも、オレ達に降りかかってきた現象も、全部ここに居るゴーストポケモン達の仕業ってワケか」
「俺は、あの時光った何かにつられてたら、何時の間にかここに連れてこられた」
「私はあの時、部屋を出ようと思ったら、背中に何かを感じて…振り向いても何も居なくて…前に向き直ったらいきなりゴーストポケモンが」
「…で」
「驚いた所で、下からいきなり足を何かに掴まれて、引き込まれた先がここでした」
「手の込んだ事を…;;」
「最初は私達も、捕まったのかと思ってビックリしたんですけど…」
「この洋館の中の様子をモニターで見てたらもうそんな事なんて吹き飛んでったぜ」
「…まさか、地下の岩も…」
「それも、ここに居るゴーストポケモン達のイタズラだぜ」
いやー面白かったなー。そうですねー。そんなやりとりに対して。
「…2人とも。それなら、今ここで私に斬られても文句は無いわね?」
「同じく。文句はねーな」
「あ、いやいやいや、そんなそんなそんな」
「ちょっとした遊び心じゃないですかー」
コウヤとリコは軽く返すが、
「物には限度っつーモンがあんだろ!!」
リク君、一喝。
「で、どうしてそのゴーストポケモン達はこんな事を?」
「いやー、何だか、ただ俺達と遊びたかっただけみたいだぜ」
「それだけであのノイズ使ったの…;;?」
「でも、まさかテレビを斬る事でノイズ止めるとは向こうも思わなかったみたいですけど?」
「他に方法無かったもの。仕方無いでしょう?」
「…テレビ『そのもの』斬るんじゃなくて、テレビの『電源』切ればよかったじゃん」
リクがぼそりと呟いた。


「結局、ゴーストポケモンが住んでただけか…」
賞金目当てだったフィアは、心底残念そうに言った。
「ったく、分け前期待してたってのに」
やっぱりコイツも金目当て。まったく。
「それにしても…数日分の体力を一気に使っちゃった感じねー…;;」
「同じく…しばらくは寝て過ごすかな…」
「何時も寝てばかりじゃない」
「うっせー」
疲れ切った表情のリクとフィア。一方で…
「一時はどうなるかと思いましたけど、終わってみると結構楽しかったですねー」
「同感。…けど、遊んでた事がもしユキにバレたら;;」
「バレなきゃ平気ですよ」
コウヤとリコはまだ楽しそうである。
「それに、今回はフィアさんの違った一面が見れましたしね」
「…何の事かしら」
「だって、フィアさんって結構クールな感じしますよね」
「まぁ、そうだな」
コウヤも同意する。
「そんなフィアさんが、ノイズの時には『きゃ!』ですよ? 結構可愛い所もあるんですねー」
その話題を持ち出されるのが嫌だったのか、フィアは少し顔を伏せ、
「…何とでも言いなさいよ;;」
「岩に追っかけられてた時も、結構取り乱してた方だったしなー」
追撃と言わんばかりにコウヤも続ける。
「あと、オレのニセモノが出て来た時。こう言うと怒るだろーけど、あの時はアンタ、半分泣きそうな顔だったように見えたな」
「…あなた達。そんなに私を怒らせたいのかしら…?」
「オイ、ちょっと待て。ニセモノ?」
「私達、そんな場面をモニターで見た覚えはありませんが…?」
「「…え?」」
リクとフィアの表情が変わる。
「あの部屋では、ずっとお2人の行動をモニターしていましたけど…」
「そういや、2回くらい、一時的に見れなくなった事あったな」
「じゃあ、地下通路の途中にある…」
リクがそこまで言いかけると、
「途中? あの地下通路は一本道だぜ。地下もちょっと見てきたけど、普通の一本道だった」
至って普通の口調で話すコウヤだが、
「…オイ、アンタ。顔色悪いぞ」
「へ、平気…」
「…2人とも。ちょっと待ってろ」
リクとフィアは、2人から幾らか距離を取り、小声で会話を始めた。
(…オイ、どーいう事だ)
(わ…私に聞かれたって…)
(話し方からして、あの2人が嘘をついてるとは思えねーし…)
(ひょっとして、私があなたのニセモノに殺されかけたのと、人骨があった地下の牢獄って…)
(ああ…オレ達はどっちもこの目でしっかり見たから、多分…)
信じたくはなかった。しかしそうとしか考えられない。
そうとは知らず、コウヤとリコは、
「…何か、嫌な事でも思い出したかな。2人とも顔色悪くなってら」
「何なんでしょうね…一体…」



同じ頃。洋館の地下。
『ククク……クククク…』
誰も居ないハズの牢獄に、不気味な笑い声。
『ワレノニクシミハ……キエヌ…エイエンニ…』
かつて人間だったモノ。呻く様に呟くのは、その頭蓋骨。ゆっくりと歯が動き、
『スベテノモノニ……ワレノ…ノロイヲ…スベテノモノニ……シヲ…!』
憎しみに満ちた声は、小さな牢獄に響き、そして消えた。


              END




補足説明。
地下通路だけど、文中では道が1本だけで、牢獄は無いという部分があったかと思うけど…
あれは、この話の後に書く事になるダークライ初登場話と超間接的にだけど関係してます。
あやつが悪夢の力で、この洋館の住人の恨み辛みを増幅させていた…といった感じ。
そしてあのニセモノも、ダークライが化けてたという設定。
これについても、後にダークライはデレツンに化けてあのバカと戦ってます。
…実は、いずれの設定もダークライ初登場話を書いてる最中に思いついたんですけどね(散れ
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