2014.05.18(Sun)

最後まで気は抜けない 

今年はわりかし時間には余裕ありましたな(何
去年なんてアップしたの日付変わる2分前というギリギリの状況だったし((

ただ…今年は、去年よりは時間あるだろうと高くくってたら結構完成がギリギリに…



                   『力』という名の贈り物


「…という訳で、お誕生日おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます。何かすみません、気を遣わせてしまって…」
セリアから渡された箱を受け取ったリコが答える。
「それで、中身は…と聞こうと思ったんですが、すぐに分かってしまいました。ケーキ、ですか?」
「はい。お店の物ではなくて、私が作った物なのでお口に合うかはわかりませんが…」
「セリアさんの手作りケーキ…では、自宅でゆっくり堪能させていただきますね」
「できれば、感想とか聞かせていただけると…」
「わかってます」
「ところで、リクさんからは何かないんですか?」
セリアが聞くと、リクは、
「ない。強いて言うなら『おめでとさん』」
即答した。
「リ、リクさん、それは流石に…」
「大丈夫です。元より期待なんてしてませんでしたから」
「そんな事より……いや、いい」
「……? それじゃあ、私はこれで…セリアさん、ありがとうございます」
「はい。では、また…」
「……」
リコが帰っていった後も、リクはそのまま立ったまま。
何か考え込んでいる様子だった。
「あの…リクさん?」
「オレの予想が正しいなら……」



「美味しそう…!」
自宅に戻ったリコは、セリアからもらったケーキの箱を開いていた。
「……流石に1人で食べるのは多いような気も」
切り分ける為のナイフを取りに行こうとした時、
「…箱?」
セリアから受け取った箱の中に、さらに小さな箱が1つ見えた。
取り出して、開いてみると、
「イヤリング…? でも、これ片方だけ…しかも、なんでトマト型…?」
リコは溜息をつき、
「十中八九、これ入れたのセリアさんじゃないですね…まったく、いくらなんでもふざけすぎです…」
片耳のトマトイヤリングを仕舞おうとしたが、
「……」
少し考えて、右耳につけてみる。
「…違和感ありすぎですね、これ。さて、そろそろセリアさんのケーキを堪能しますか…」


その頃…
「さて、アイツは『あれ』を使いこなせるか…」
「あれ、とは…?」
セリアの問いに、
「ん、まぁ…ちょっと気になる事があってな。アイツのポケモンについて」
「あっ、もしかして…私が前にリクさんに渡した…」
「察しがいいな。多分、お前が考えてる答えで合ってるはず。さて、と…」
リクは立ち上がると、出掛ける為の支度を開始する。
「どちらへ?」
「ちょっとレクチャーに、な」



「お茶も入れたし、さて、ケーキを…」
お待ちかねのケーキを口に運ぼうとした時、
『大変だよ!』
「?」
手持ちのジュペッタ――ベルが駆け込んでくる。
「何か?」
『またアイツが来た!』
「また!? もう…!」
仕方なくケーキをそのままに、リコはベルと共に外へ飛びだす。
「やっぱり…あのカイロス…!」
『早く止めないと、また水道管壊されちゃうよ!』
「分かってる! ベル、行ける!?」
『任しといてよ! トリックスターの異名を持つボクの実力、あのカイロスに見せてあげるよ!』
「え、いつからそんな異名が…?」
『いくよ! まずは…』
「カイロスは攻撃力が高いポケモン…まずは、相手を弱体化させないと…」
『なら、これだね! <おにび>だっ!』
ベルが火の玉を放とうとするが、それより早く相手の攻撃がヒットする。
「今の攻撃…<だましうち>…!?」
『相手が早いよ! このままじゃ技が撃てない!』
(このままだと、技を出す前に倒されてしまう…どうすれば…)
その時。
「!?」
すぐ近くで、何かが光った。思わず目を閉じる。
光を発していたのは、右耳のイヤリング。
そして、それに共鳴するかのように、ベルの体も光り出す。
『リコ、これ! 前にボクが拾った、この変な石!』
「もしかして…このイヤリングに反応してる…? これは…?」
「やっぱりそうだったか」
聞き覚えのある声が上から聞こえた。見上げるとリザードンが、その背にリクが乗っている。
「ちょ、ちょっとリク!? なんなんですかこれ!?」
「説明は後だ! とにかく今はそのカイロスをどうにかするんだろ!?」
「だから、私はどうすれば!?」
「いいか、その右耳のイヤリングに指で触れろ! それでそのジュペッタは『メガシンカ』する!」
「メガ……シンカ……?」
「早くしろ! また攻撃が来るぞ!」
「え、えっと…指をイヤリングに当てる…」
リクの言った通り、指でイヤリングに触れると、ベルの体が光に包まれる。
そして。
「ベルの姿が…変わった…?」
「リコ! ジュペッタに<おにび>を撃たせろ!」
「え!? でも先手を取られ……」
「いいから!」
「ど、どうなっても知りませんよ!? ベル、<おにび>!」
『おっけ!』
相手のカイロスは再び<だましうち>の体制に入ろうとするが、今度はベルの<おにび>が先に命中する。
「早い!? どうして!? さっきは…」
『リザっちー! 一気に畳み掛けてー!』
ベルが上空のリザードンに呼びかける。
「ここから見物と思ったんだが…ご指名だぞ、リザードン」
『了解! じゃ、いきますぜ、ダンナ!』
リザードンは降下し、地に降り立つ。リザードンの背からリクが降り、
「リザードン! …メガシンカ!」
左腕の腕輪にリクが指を触れる。
「えっ、リクもその力を!?」
ジュペッタと同じ様にリザードンが光に包まれる。
「いけ! リザードン!」
『おう! いくぜぇ!』
リザードンの体色は黒に変色し、尾の炎は青く燃えている。
「<フレアドライブ>で決めてやれ!」
『了解、ダンナ!』
リクの指示で、青い炎を纏ったリザードンがカイロスに突進していく。
攻撃が直撃し、その勢いでカイロスは思いきり吹っ飛ばされていった。
「…ま、これでしばらくは襲ってはこねーだろ。リザードン、ご苦労さん」
「……」
「じゃ、今の戦いについて説明しねーとな」
その言葉を合図にしたかのように、リザードンとジュペッタの姿が元に戻る。
「元に戻った!?」
「それも含めて話してやるから慌てるなっての」
「は、はぁ…」


「その気になればいつでもセリアさんのケーキが食べられる立場にいるリクに出すのはどうかと思いますが、どうぞ」
「…余計な言葉が混じりすぎてる気がする。ま、いいけど」
「それで…」
「さっきの、アンタのジュペッタとオレのリザードンがやったのが、メガシンカ」
「だから、そのメガシンカっていうのは…」
リコの問いに、
「簡単に言えば『進化を超えた進化』なんだとさ」
「進化を超えた進化…」
「ただ、メガシンカが確認されたのは割と最近になってかららしいから、まだ詳しい事は謎な状態なんだとよ」
「…という事は、ジュペッタやリザードンだけでなく、他の全てのポケモンもメガシンカを?」
「いや、今現在メガシンカが確認されてるポケモンは全体の1割にも満たないらしい」
リクはケーキを口に運ぶ。それから紅茶を一口。
「うん、流石セリアだ。美味い」
「では私も。……! 美味しい…!」
「で、話の続き。その、現在確認されているメガシンカ可能なポケモンの中に、アンタのジュペッタとか、オレのリザードンがいるって訳」
「じゃあ、同じ種族であれば、メガシンカが出来るという事ですか?」
「違う。メガシンカの大前提として、条件が2つある」
「それは?」
「まず1つ目の条件。これを満たすためには、2つの物が必要になる。メガシンカするポケモンに対応する『メガストーン』。そいつを、メガシンカさせるポケモンに持たせておく。それが必要な物の1つ目」
「そういえば…前にベルが、変な石を見つけて、それからそれをずっと持っていたような…」
「それが、メガストーンだったって事だな。今日、アンタがオレの家に来た時にジュペッタを見て、メガストーンが目に入ったもんでな」
「それで、2つ目というのは?」
リコが聞くと、リクは自分の左手首を指差し、
「これ」
「…それ、腕輪ですか?」
「そうだけど、よく見てみろ」
目を凝らしてみると、腕輪に何か埋め込まれている。
「これが必要な物の2つ目。『キーストーン』」
「キーストーンって…もしかして…」
「そ。アンタの場合は、その右耳のイヤリングが該当する。アクセサリーにキーストーンを埋め込んであるって事。オレの場合は、ここ」
そう言うとリクは、再び左腕の腕輪を指差した。
「で、さっき話した、ポケモンに持たせたメガストーンと、トレーナーが持つキーストーンが共鳴する事。それがまずメガシンカの条件1つ目」
「じゃあ、このキーストーンとメガストーンがあれば、誰でもメガシンカが?」
「まぁ端的に言っちまえばそうなる。2つ目の条件が『ポケモンとの強い絆』」
「……リクとポケモンにもあったんですね、絆」
「どういう意味だ」
「そのままの意味ということで」
リクはそれを無視し、
「まぁ、借りたポケモンでもメガシンカできたって事例があるらしいから、実質メガストーンとメガリングさえあれば誰でも使えるって事になる」
「じゃあ、いずれは全てのトレーナーが…」
「いや、そもそもこのキーストーンとメガストーンがとてつもなく希少だから、持ってる奴の方が珍しい。ちなみに、今オレが持っているメガストーンは、全部で4つ」
「4つも!?」
「つっても、使えるのはリザードンと、後はミュウツーだけなんだけどな」
「どういう事です?」
「今現在確認されてるメガシンカ可能ポケモンの中で、リザードンとミュウツーだけ、メガシンカが2種類ある。今回オレが使ったリザードンのメガシンカは、物理攻撃主体の姿。メガリザードンXとか呼ばれてるらしいな」
リクはメガストーンを仕舞い、
「で、次に、さっきカイロスに遅れをとったジュペッタが、なぜカイロスに対して先手を取れたか、だ」
「素早さが劇的に上がった…とかですか?」
「ちょっと違う。ヒントを挙げるなら、メガシンカすると特性が変わるポケモンも多い」
「特性が変わる……あっ!」
「気付いたな。メガジュペッタになると、特性は『いたずらごころ』に変わるんだよ」
「『いたずらごころ』は変化技に分類される技を先手で出せる特性…そして、<おにび>は変化技…だからベルがカイロスに先手を取れたって事なんですね」
「そういう事」
「それにしても…さっきのリザードン、物理攻撃主体とはいえ、技の威力が凄まじくなかったですか?」
「それも特性の効果。メガリザードンXの特性は、直接攻撃する技の威力を上げる『かたいツメ』になる。『物理攻撃』じゃなくて『直接攻撃』ってとこ注意な」
「あれ……?」
「どうした?」
「いえ…あの、<フレアドライブ>って突進する技ですよね…?」
「まぁ、そうだな。それが何か?」
リコの質問の意図が理解できず、リクは首を傾げた。
「どうしてその特性で威力が上がるのかと…」
「…言われてみれば」
リクは真顔で返した。
「それはそれで置いといて」
「置いておくんですか…」
「話を戻すぞ。メガシンカすると、特性だけじゃなくてタイプが変わるポケモンもいる。さっきオレが使ったリザードンがいい例だな。Xだと、炎飛行から、炎ドラゴンに変わる」
「…それで、キーストーンなんですけど、なんでイヤリングなんです?」
キーストーンが埋め込まれたイヤリングを右耳から外しながらリコが聞いた。
「人によっていろんな物に埋め込まれてるんだよ。オレみたいな腕輪だったり、ネックレスだったりグローブに埋め込んでるトレーナーもいるって話だぞ」
「いえ、そういう意味ではなく…なんでトマトなのかと…」
「……まぁ、とっとけ」
「む……」
「無くすんじゃねーぞ。さっきも話したけど、キーストーンは希少なんだからな」
「…ところで、希少であるはずのそのキーストーンをリクはどこで手に入れたんです?」
「セリアにもらったんだよ。なんでも、月の国に行った時、オレら3人に渡してくれって女王に頼まれたらしい」
「3人っていうのは…私に、それとリク、後は…」
「フィアだ」
「フィアさんには、もうキーストーンを?」
「セリアがネックレス仕様にして渡した」
「…で、なんで私のはこんな形なんですかね」
「いいアイディアだと思ったんだが」
「……やっぱりリクでしたか、こんなふざけた形にしたのは。いや、確かにトマトは好きですけど…」
「文句あるなら返してもらうぞ」
リクが手を出した。
「…せめてこのトマトの部分だけでもどうにかなりません?」
「我儘な事を…それ、横に割れる」
「ならそうと先に言ってくださいよ…」
そう言いながらリコはトマト部分を両手で横に引っ張る。
すると、案外簡単に割れた。
「……すぐ割れる所に若干の手抜き感が見えるんですけど」
「取り外し自由形なんだよ」
「これが、キーストーン…」
「あ、そうだ、メガシンカで注意する事が」
「注意する事、ですか?」
「まず、メガシンカが出来るのは戦っている時だけ。そして、戦いが終わると元に戻る。そんでもってさらに…」
再びケーキを口に運び、
「1回の戦闘につき、メガシンカは1回しか使えない。つまり、1回の戦闘で2匹以上メガシンカはさせられない」
「それは、なぜです?」
「さぁな。オレも詳しい理由までは知らねーよ。まぁでもアンタの場合、メガシンカできるのはジュペッタだけだし、今の所はそんなに気にする事でもないだろうけど」
ケーキを食べ終えたリクは椅子から立ち上がると、
「さて、と。そろそろ帰るかな…そういう訳だから、メガシンカ、上手く使えよな」
「…これは、メガシンカがリクからの誕生日プレゼントという事で?」
「想像に任せるよ。…ま、頑張って使いこなすんだな」
それだけ言うと、軽く手を挙げ、
「んじゃな」
それだけ言うと、家から出て行った。
「あ、ちょっと…!」
呼び止めるも、リクはそのままリザードンに乗って飛び去っていった。
「用件済んだらさっさと撤収ときましたか…」
玄関先で溜息をついた。
「メガシンカ、ですか……」
今は外している、イヤリング型のキーストーンを眺め、強く握りしめた。
「望む所じゃないですか。驚くくらいに使いこなしてやりますよ」
そして、空を見上げる。
「―――。」



「……?」
ふと、リクは飛んできた方向を振り返った。
『ダンナ?』
「ああ…いや、誰かに何か言われたような気がした」
『こんな、空の上でですかい?』
「ま、気のせいって事にしとくさ」
『ひょっとしたら、リコのお嬢がダンナにお礼でも言ったんじゃないですかい?』
「どうだかな……」
『さ、早く帰んないとセリアのお嬢を心配させちまいますぜ』
「だな。…さ、飛ばすぞ!」
『了解!』
リクの指示を受け、リザードンはスピードを上げた。



                   END










「……なぁ」
『なんですかい? もう本編終わりですぜダンナ』
「メガリザードンYにメガシンカすりゃ、更にスピード出るんじゃね?」
『ダンナ、さっきリコのお嬢に自分で言ってたじゃないですかい。バトル中じゃないとメガシンカできないって』
「だよなぁ……」
『それにXだろうとYだろうとメガシンカしても素早さ種族値変わりませんぜ』
「何そのメタ発言」
『そんなに早く、セリアのお嬢の所に帰りたいんですかい?』
「な…なんでそうなる!」
『心配しなくても飛ばしますって。んじゃ、しっかり掴まっててくださいな!』




                 本当にEND





という事で、リコさんへの今年の捧げものでした。
誕生日おめでとうございます。

ここまで読んでいただけたら、きっと今年のSSのテーマはお分かりかと思います。
はい。『メガシンカ』です。
XY楽しんでますかー? フレンドサファリの神施設ぶりに驚いてますかー?((
せっかくXYになったので、SSを書く時にはこの要素は入れたいなーと思っていたのです。
その為に、そちらの過去の記事を見返して、メガシンカできるポケモンを探したところ、
ジュペッタのベルがいたので、今回彼にメガシンカしてもらうことにしました。
なお、なぜ今回ダメトレのメガシンカをメガリザードンXにしたかというと、
私がメガリザードンX好きだからです、はい((


そして、終盤の「―――。」は、あれはわざとです。
好きに言葉を入れてセリフを完成させてください(ぇ
あ、あと、ラストのメタ茶番はちょっとした遊び心です(斬


そんな訳で、お納めください。
今後とも、よろしくです。
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Comment

気付くのめっちゃ遅れてごめんなさい…!!
お久しぶりです…
そしてありがとうございますーー!!!

うぉぉベルがメガシンカを!
トマト型w
かわいいじゃないですかトマトイヤリング…というか既に髪にトマトついてるじゃないですかリコさん!
髪飾りにキーストーンつけてもいいなぁとか思いました(
リクくんとリコの両方の珍しいデレが見えたような気がしておいしいですごちそうさまです。

XYは色違いフラベベ狩りして以降放置プレイ状態ですがサファリおいしいですね!

最後にさりげなくリクセリ入れてくるあたり侮れない総帥…ありがとうございます。
ハチリコ | 2014年05月24日(土) 14:28 | URL | コメント編集

>リコさん
どーも、ご無沙汰してます。

キーストーンの場所は、実はちょっと悩みました。
これは、キーストーンの身に着け方は基本的にアニメやゲームを参考にしているんですが、
アニメで見た物や、ゲーム本編で見て確認できたのが物凄く限られている事に気付いた為で…
ジャーナリストさんは女性なので、まずネックレス型かイヤリング型に絞り、
そして「フィアさんはイヤリングとかしなさそう」という理由でこうなりました(ぇぇ
しかし、髪飾りにキーストーン……いやー、これは盲点でした。流石です(ァ
XYは…そういやそちらのフレコ結局聞けてないなぁと今ふと思った((

ここでちょっと裏話。
今回の捧げ物については、他に2つの案がありました。
1.ジャーナリストが、ふとしたきっかけで嫁の秘密を知ってしまう(去年の話と間接的に繋がる)
2.ジャーナリスト、嫁、デレツンの3人の体と中身が入れ替わって一騒動
結局、比較的構成練りやすいという理由でメガシンカになりましたが。。。


最後のあの茶番ですが、前だったら奴はああいう反応はしてなかったはずです。
多分ではありますが、若干意識し始めているんじゃないでしょうか。多分ではありますが((
Riku | 2014年05月24日(土) 16:19 | URL | コメント編集

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